不動産投資を振り返って思うこと

日米家計の金融資産比較2009年9月末(単位:兆円)日本銀行「資金循環統計」堵1ドル二90円で計算それでは、アメリカの金融機関の債権者とは、果たして誰だろうか。
もちろん、日本同様に国民や企業の預金残高も巨額ではある。
とはいえ、図1-1のように家計が極端に預金偏重の日本に比べると、アメリカの家計金融資産に占める現預金の割合は小さい。
アメリカ家計の金融資産の3割超は「株式投資」で、現預金は15%未満にすぎない(日本は約50%)。
「世界最大の対外純負債国(二債務超過国)」であるアメリカは日本の真逆で、金融機関や政府の負債の多くを「海外からの借り入れ」が占めている。
米国債の海外への売却とは、372つのアメリカ要するに海外投資家からアメリカ政府がお金を借りることである。
さらにアメリカの場合、住宅ローンやクレジットローンなどの「家計の負債」までもが、証券化商品として販売され、外国の金融機関などに買われた。
つまり「輸出」してしまったのである。
政府や金融機関、それに企業の負債の債権者が外国というのは、別に奇異に思わない。
だがアメリカのような経済大国が、家計の住宅ローンまでをも原資を外国に頼るというのは、さすがに「独特」としか表現しようがないシステムである。
要するに、アメリカの国家モデルは「みんなが外国からお金を借り、国家経済のフローとして支出(要はGDP)拡大に使う」ことが大前提になっていたわけだ。
すでにこの仕組みは2007年時点で破綻したが、よくもまあ、それまで維持することができたものである。
本気で感心してしまう。
アメリカ「国家」が海外からどれほどの規模、お金を借りていたかは、アメリカの対外負債の推移を見れば一目瞭然だ(図1-5)。
本章冒頭でも書いたが、便宜上、資産についてはプラス、負債はマイナスで表現している。
負債額が資産額を上回っているため、「対外純負債」が発生し、それはプラス方向に表示されている。
図1-5を見るとリーマン・ショック(08年第3四半期)以降に対外純負債額が急増しているが、これは対外負債の増加が理由ではなく「対外資産の減少」に起因している。
アメリカの対外資産が減った主因は、株式以外の海外における資産残高の減少である。
もちろんリーマン・ショック直後は、アメリカの対外資産に占める(海外の)株式時価総額は、一時的に急減した。
しかし、その後はやや持ち直しつつある。
これは、2つのアメリカ諸国などにおける株式の再バブル化によるところが大きいだろう。
08年第4四半期以降におけるアメリカの対外資産の内訳を細かく見ると、株式残高が1兆ドル強戻している(08年第4四半期‥2・85兆ドル。
09年第3四半期‥3・94兆ドル)。
それにもかかわらず、全体の額はあまり変わっていない。
すなわち、株式「以外」の金融資産が減少を続ける中、ただ株式残高のみが急回復を続けているわけである。
「株式」という資産の特徴が、何となく理解できた気がしないだろうか。
さて、アメリカの対外負債であるが、リーマン・ショック以降は15兆ドル前後で何となく「安定」しているように見える。
しかし、ここでリーマン・ショックから現在までのアメリカ経済について、改めて振り返ってほしい。
この時期のアメリカ経済は前掲図1-3の通り、民間や地方政府の負債増が完全にストップした中、唯一、連邦政府だけが負債残高を増やし続けている。
なぜ連邦政府の負債(借金)が増えたかといえば、景気対策や公的資金注入のために、米国債を増発したからだ。
米国債の発行とは、要するにアメリカ4()図1・6海外投資家の米国債保有軋及び対外負債に占める割合の推移(単位:10億ドル、%)-500-1,000・1.500-2,000・2.500-3,000・3,500政府が外部からお金を「借り入れる」経済行為である。
09年3月以降、米国債は相当額がFRB、すなわちアメリカの中央銀行により購入されている。
具体的に、FRBはいくら分の米国債を買ったのか、そして結果的にFRBのバランスシートがどうなったかについては、次章で解説する。
とりあえず理解してほしいのは、この時期に「海外投資家」により購入された米国債の規模である(図1-6)。
海外投資家が保有する米国債とは、アメリカにとっては「対外負債」の一部となるため、グラフではマイナス表記にしている。
図1-5の対外負債の412つのアメリカ一部(09年Q3(二第3四半期)時点で約15兆ドル)が、図1-6に該当するわけである。
図1-6及び図1-5の対外負債を比べると、特にリーマン・ショック以降に、「対外負債全体は15兆ドル前後で安定し、特に増加していないにもかかわらず、海外投資家の米国債保有額は増えている」という、アメリカの現実が見えてくる。
全体の対外負債額が変わらない中で、米国債の海外への販売が急増している以上、当たり前だが「対外負債に占める米国債の割合」は次第に上昇している。
同比率は07年の14・6%から、09年9月末には23・2%にまで高まった。
「民間の負債」が拡大しないと不景気になるここで、改めて国家経済における「負債」の意味について解説しておきたい。
「負債」と開くと、日本人は「借金か!」とばかりに、単純にネガティブな印象で捉える人が多い。
確かに負債の多くは借金だが、少なくとも資本主義経済において、民間や政府の負債増加は、国家経済のフロー(注‥GDPのこと)を高める原動力となるのだ。
国家経済のフローであるGDPを支出側から見た場合、以下の一行の式で表すことができる。
GDP(国内総生産)二個人消費+民間投資+政府支出+純輸出細かい話をすると、民間投資は実際には「民間住宅投資」と「民間企業設備投資」に、政府支出は「公共投資」と「政府最終消費支出」にブレイクダウン(二細分化)することが可能だ。
また、その他にも、在庫変動の影響もある。
とりあえず、現段階ではGDPとは右記4つ(個人消費、民間投資、政府支出、純輸出)の項目から構成されると覚えておいてほしい。
さて、資本主義経済の基本モデルは、432つのアメリカ「民間企業が融資を受け、設備投資などを重ねて収益を上げ、個人消費などに波及することで成長していく」というものである。
無論、国家のインフラ整備などが目的で、政府が融資(注‥国債発行など)を受け、公共投資を行うケースもある。
いずれにせよ、民間なり政府なりが投資をしないことには、国家経済の成長は難しいのだ。
企業が投資をする際には、もちろん内部留保を取り崩す場合もある。
しかし、多くのケースでは、企業が銀行などから融資を受け、投資を行っていくことになる。
このときの銀行融資の金利を「市場利子率」、投資に対する利益率を「投資効率」(いわゆるROI)と呼ぶ。
企業は投資効率が市場利子率を上回っている限り、投資を拡大していくことになる。
企業が投資を拡大すると、GDP上の民間投資が増大し、国民経済は活況を帯びることになるわけだ。
あるいはアメリカのように「家計」が負債を拡大し、消費や住宅投資に支出することで経済成長を達成するパターンもある。
いずれにせよ、民間が負債を増やした結果、消費や投資が拡大する現象のことを「経済成長」と呼ぶのである。
経済成長を続ける限り、国家のバランスシートにおいて、「民間の負債」は拡大していくものなのだ。

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